ビールとテレビとデパートと。

若者の◯◯離れに逆行する、マスコミ勤務の30代サラリーマンによるブログ。ビール、コンテンツ、メディア、コミュニティ、競馬、マラソン、家族とかについて書く予定

中の人が気が付きにくい「マスメディア」の価値

いいたいことのまとめ

①マスメディア企業は、コンテンツの「制作」が強みであることは明白だけど、

ある意味、当たり前と思われているコンテンツの「流通」に

それを上回るほどの価値があるのではないか、ということ。

②マスメディア企業は、質の高いコンテンツを制作すること以外にも、

コンテンツの「流通」をもう一度整備し、ユーザーファーストを

実現するべきではないか、ということ。

 

マスメディア企業の役割

マスメディア企業の役割には、「コンテンツ制作」と「コンテンツ流通」の

2つがあるのではないかと私は思っています。

 

新聞社、出版社、テレビ局、ラジオ局などの

マスメディア企業はどこもコンテンツの「制作」こそが

自分たちの強みであり、それは普遍なものなのだから

とにかくこれを磨くのだ、とする考え方があります。

これは全くもって正しいです。為になる新聞記事、感動する漫画、

面白いドラマ、これらが無ければ当然、商売になりません。

 

ただ、マスメディア企業にとってコンテンツの「制作」を上回るほどの価値の

源泉となっているのは、コンテンツの「流通」ではないでしょうか?

新聞であれば、毎日家に届くこと、キヨスクで売っていることになりますし、

本であれば、本屋さんに置かれることでしょうし、

テレビであれば、地上波ということになります。

この「コンテンツを人々に届ける流通網」、地味ではありますが、

これこそがマスメディア企業の価値の源泉です。

これらの流通網がなければ、どんなに良いコンテンツを制作しても、

人々の目に触れることはありませんし、同時に広告媒体としての価値も存在しません。

 

当たり前だった「強いコンテンツ流通網」

マスメディア企業の中では、この流通網のありがたさに意外と気が付きません。

なぜなら、長い間そこにある、当たり前のものだからです。

テレビの地上波なんかは非常に良い例です。

全国津々浦々に同時に100万、1000万単位で届けることが

出来るもの凄い流通網が既にあるわけです。

(いくらニコ動やユーストにユーザーが集まったとしても、

同時に見ることが出来ているのはせいぜい10万単位でしょう。)

誰も勝てない最強の流通網があるから、そんなことを考えず、

良い番組作りに励むことが出来るのではないでしょうか。

 

インターネットという新しいコンテンツ流通網

インターネットの登場によって大きく変わったことは何か?ということを

議論する際、必ず出るのが「個人が自由に発信できるようになったことだ」

ということです。

これはつまり、「個人が自由に発信できる流通網が出来た」ということと

同義ではないかと思います。

確かにインターネットの登場&技術革新で、

文章制作、動画制作等の「制作」を誰でも出来るようになったことも事実ですが、

やはりそれを届ける流通網が無ければ誰の目にも触れることはないのです。

 

マスメディア企業が目指すべきなのは、

ユーザーファーストを目指したコンテンツ流通網の再整備

人々がそれぞれ異なるタイムラインで生活している以上、

マスメディアも新聞・雑誌は紙で買わないと読めない、

テレビ・ラジオはテレビ・ラジオ端末の前でないと見ることが出来ない、

というのでは、もはやどんなに良いコンテンツを制作しても、

将来的に今より多くの人に届けることが出来なくなってくるでしょう。

誤解を恐れずにいえば、もはや、

「クオリティの高いコンテンツを作るだけ」ではダメなのではないでしょうか。

ユーザーファーストの見地に立って、コンテンツの流通網をもう一度見直す、

これがマスメディア企業に求められているのではないか、と本気で思います。

 

コンテンツ流通網の再整備が進む「新聞」と「ラジオ」

そんなマスメディア企業の中でも、「新聞」の電子化、

radiko」の登場によって「新聞」と「ラジオ」は

コンテンツ流通網が変化してきているように感じています。

どちらも、どうすれば多くのユーザーに届けることが出来るかを

最大限に考えた形のような気がしています。

 

コンテンツ流通網の再整備により、これまでより稼げなくなる!?

流通網の整備というのは、ビジネスの根幹を変えることに直結します。

テレビ局でいば、地上波だけでなく、番組のネット配信、

録画視聴など、番組流通網が地上波以外に整備されることで、

地上波リアルタイム視聴率のみで商売していたこれまでよりは、

稼ぎが少なくなることが考えられるのではないかと思います。

 

終わりに

マスメディア企業が、コンテンツ流通網の再整備を進めるということは、

イコール、GoogleApple、AmazonなどのIT 企業や、

NTTやSoftBankなどの通信会社との競争、連携が不可避となってくるということです。

完全に個人的な見解ですが、マスメディア企業が、

この流通レイヤーに手を出さないということは、

将来的に記事執筆、番組制作などだけ行い、

それを他社に売るだけの「単純な制作会社」になることを意味すると思います。

そうなれば今よりはきっと稼げなくなるでしょう。

それでも質の高いコンテンツを作りたいのだ、という考え方を否定はしませんが、

稼げなくなる前に、コンテンツ流通レイヤーにチャレンジする意味はあるはずです。